あなたは「あの時こうすればよかった」「どうしてうまくいかないんだろう」など、同じ思考が頭の中をぐるぐる回っている経験はありませんか?
これらの思考は「反芻思考」や「ぐるぐる思考」と呼ばれ、ストレスを増大させる厄介な状態です。
このぐるぐる思考を止めるには、どうすればよいのでしょうか?
今回は思考が止まらない原因と潜在意識との関係性。
さらには潜在意識から思考を止める方法について、ご紹介します。
思考が止まらない原因と潜在意識の関係性
反芻思考が止まらない原因の一つに、潜在意識の働きがあります。
私たちの意識には、潜在意識と顕在意識と呼ばれる2つの意識が存在します。
潜在意識は、私たちの脳の約90%を占めるとされ、私たちの行動のほとんどに影響を与えています。
潜在意識は無意識とも呼ばれ、自動思考や信念・価値観を司っている領域になります。
一方の顕在意識は、意識的に物事を考えたり判断したりする領域です。
私たちが一般的に「意識」と言うときは、この顕在意識の分類になりますね。
潜在意識には、過去の経験や記憶が蓄積されていて、その情報を基に自動的に現実を解釈しています。
その解釈が「ネガティブな状態」として定着していると、アウトプットされる思考がネガティブに・・・いわゆる反芻思考が起こりやすくなるのです。
思考を止めることで得られるメリット
思考を止めることで得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、思考を止めることで得られるメリットについて、もう少し詳しくお伝えしますね。
1. ストレス軽減と心の健康
反芻思考は、うつ病や不安障害などの精神疾患のリスク要因とされています。
そのため、思考を止めることはネガティブな思考の連鎖を断ち切り、ストレスを軽減することが出来ると考えられています。
思考を止めることは、心の健康を保つために重要なことなのです。
2. 集中力・パフォーマンスの向上
思考を止めることで、本来考える必要のない雑念が、取り除かれます。
雑念から解放されることで、目の前のことに集中しやすくなります。
重要なことに意識を向けられるようになるため、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。
3. 問題解決力の向上
反芻思考では、考える必要のある情報と、考える必要のない情報とが分かれていないため、問題の本質が見えにくくなります。
ここで、一旦反芻思考が止まると、思考を整理する余裕が生まれます。
思考を整理する余裕が生まれることで、問題の核心が見えやすくなり、解決策を見出しやすくなります。
冷静に状況を分析し、適切な判断を下せるようになるのです。
4. 自己理解の深化
思考を止めて内面を見つめることで、自分の思考パターンや価値観に気づくことができます。
思い込みや先入観に気づき、より柔軟で偏りのない思考ができるようになります。
自己理解が深まることで、自己成長にもつながります。
潜在意識を活用して思考を止める方法
では、実際に潜在意識を活用して思考を止めるにはどうすればよいのでしょうか?
ここでは、潜在意識を活用して思考を止める方法について、ご紹介します。
1.マインドフルネス瞑想を実践する
マインドフルネス瞑想は、今この瞬間の体験に意識を向け、思考を静かに観察する方法です。
瞑想を通じて、反芻思考に巻き込まれずに距離を置けるようになります。
瞑想自体は色々な方法がありますが「呼吸に意識を向ける」ことが、最もシンプルで効果的な方法です。
息を吸っている時に「息を吸っている」と意識して、息を吐いている時に「息を吐いている」と意識します。
何回か繰り返したら、呼吸に意識を向けていたものを止めて、無心でゆったりとした呼吸を続けます。
意識に何か登ってきたら(特に思考が回り始めたら)、その思考を観察するようにしましょう。
- お腹すいたなぁ → 「お腹すいたなぁ」って思ったなぁ
みたいな感じで、いま思ったことを別の視点から眺めるような感覚で、捉えてみます。
しばらくそうしていると、思考が沈んでいきますので、また深い呼吸を続けます。
この方法をしばらく行ってみてください。リラックス効果やストレス軽減にも役立ちます。
また、1日5分程度の時間から始めても、問題ありません。
短くても続けることが大切です。
2.森林浴をする
反芻思考の方は、仕事や作業に付きっきりの方が多く居ます。
また、恋愛であれば相手とどうやったら上手くいくのだろう?と考えすぎてしまって、出口のない思考をぐるぐると回転させていることも多いです。
そんなときは、心の状態も崩していることが多いので、自然と触れ合って頭を空っぽにすることが大切です。
というのも、森林浴には不安やうつといった症状を大幅に軽減することが証明されています。
→The effects of forest bathing on psychological well-being: A systematic review and meta-analysis
ですので、思考を止めるには、森林浴でリラックスすることがおすすめなのです。
3.紙に書き出してアウトプットすることで思考を止める
思考が止まらない、特に反芻思考の状態は、頭の中だけで処理しようとすると、悪循環に陥りやすいです。
そんなときは、思考を言葉にして紙に書き出すことを行いましょう。
紙に書き出すことで、思考を客観的に見つめ直すことができ、問題の本質が見えてくることがあります。
やり方はブレインダンプという方法がおすすめです。
また、テーマを決めたほうが良いのですが、反芻思考の場合は思いつく限りの思考をそのまま書きなぐることを行いましょう。
文字が出なくなったら、休憩してからその単語や文章を眺めてみると、客観的に問題と向き合うことが出来ます。
4.思考のパターンを分析する
反芻思考には「ブルーディング」のように単にネガティブなことを繰り返し考えるタイプと、「リフレクション」のように建設的に原因を分析するタイプがあります。
簡単に言えば、
- 感情的に自分を攻撃しているタイプが「ブルーディング」(なんで自分はダメなんだろう、こんな環境で生まれてこなければ)
- 原因を分析しているタイプを「リフレクション」(なぜ失敗を繰り返すのだろう?、何が理由でこうなった?)
といいます。
文章にすると分かると思いますが、次に繋がる考え方をしている人は、リフレクションの思考を持った方です。
対するブルーディングの考え方をしていると、潜在意識に自分自身にネガティブな価値観や信念を与えてしまいます。
その潜在意識が固定化されると、常態的に自分を傷つけていく思考を続ける一方になってしまいます。
ですので、このブルーディングという反芻思考は、いち早く止める必要があります。
とはいえ、反芻思考の状態だと、自分がどちらの思考を持っているのか?分からないものです(どちらも持っている場合もあります)。
ですので、まずは思考を止めてみる必要があります。
瞑想を行い、心を落ち着かせる手順を踏んでから、ブレインダンプなどの文章を視覚化することを行います。
その後、自分の思考パターン(感情的な部分と論理的な部分)を知ることで、前向きな反芻に捉え直すようにしましょう。
5.アファメーションで潜在意識を書き換える
アファメーションとは、望む状態を肯定的な言葉で繰り返し唱えることです。
例えば
- 「私は今この瞬間に集中しています」
- 「私は柔軟で創造的な思考ができます」
などと唱えます。
潜在意識に肯定的なメッセージを与えることで、ネガティブな思考パターンを書き換えます。
また、反芻思考に陥った悩みが見つかるのであれば、ご自身でアファメーションの文章を作ってみるのもよいでしょう。
今回は思考を止めるため、また建設的で創造性のある思考ができるよう、アファメーションの例文も作成してみました。
いくつかピンときたものをご活用ください。
- 「私の思考はポジティブで建設的です。」
- 「私は今この瞬間に意識を向けています。」
- 「私は自分の思考をコントロールできます。」
- 「私は過去から学び、未来に生かす力を持っています。」
- 「私は困難な状況から学びを得られます。」
6.専門家に相談する
最後に、反芻思考が重症で、うつ病など精神疾患のリスクがある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
あなたの心と身体を大切にすることを第一に考えましょう。
まとめ
反芻思考は潜在意識の働きと深く関わっています。
潜在意識のメカニズムを理解することで、思考の流れを理解するためのヒントが得られます。
思考を止めるには、思考のもととなる心の部分に意識を向けたり、思考を書き出して客観視することが有効です。
また、ネガティブな思考を止めるための根本的な解決には、潜在意識に働きかけることが重要です。
潜在意識に働きかけることで、ネガティブな信念や価値観から現れる思考や行動を一新することが出来ます。
コメント